ニュース×思うこと×雑記

”Black Lives Matter” から ことばについて考える

こんにちは、にわです。

"Black Lives Matter" について触れることは難しく、投稿を控えていたのですが、先日、Linuxの生みの親、Linus Torvaldsさんが、Linuxのコードやドキュメントに使用する用語として、「master/slave」や「blacklist」など差別的な用語を禁止し、新しい用語に置き換えることについて承認したとのニュースをみて、本日の投稿を記載しています。



「blacklist」も差別用語だったのか…

IT部門で働いているため、IT関連のニュースは気にしてみているのですが、「blacklist」の「black」は黒人由来だったの?!と驚きました。

インターネット検索すると、そもそもの語源/由来は黒人というわけではなく、ただネガティブなリストを示す「blacklist」という言葉の「black」が黒人を想起させるという、逆輸入のような感じで使うべきではない、という説が有力そうでした。

「blacklist」(問題があるもの、ブロック対象のリスト)の対義語として「whitelist」(問題がないもの、許可対象のリスト)と言ったりしますが、この「white」も白人由来、もしくは白人を想起させるものと考えると、「Black Lives Matter」問題をいまひとつ実感を持って考えられなかった私も、すごく根深いものを感じてしまいます。

疑問にも思わないほど、日常の言葉として使っていました。

とはいえ、クレジットカードの「ブラックカード」のような言葉もあり、個人的には、そしておそらく多くの日本人にとっては、「ブラック」=ネガティブという印象はないのではないかと思います。

日本語でも「あいつは白だ」「あいつは黒だ」とか、「白星」「黒星」のような言葉がありますが、これらはどうなのだろう?この白黒にもなにか由来があるのだろうか…。

ネガティブな意味=黒人という意図はないと思うのだけれど、関係しているとしたら、どこまで私たちの日常にもしみこんでいるのか…とおそろしいです。



「master/slave」主従関係

同様に、「master/slave」という言葉は、多くの日本人は「主従」と訳し、「主人と奴隷」とは訳さず、「黒人を想起する」ということはないのではないかと思います。

私にとっては、昔の貴族と平民、上司と部下、親分子分、雇用主と従業員、くらいのイメージですが、これもLinuxでは禁止となるそうです。英語ネイティブの人がこの言葉から受ける印象は違うということなのだろうか…。



「racism」は「人種差別」ではなく「人種主義」

「racism」という言葉も、「Black Lives Matter」 のニュースで考えさせられたことばのひとつです。

「racism」という言葉を訳す機会はこれまでなかったものの、もし何も聞いていない状態で訳すことになっていたら、自分は何と訳しただろうか。

「capitalism」が「資本主義」と訳されるように、「ism」は「主義」なのだ、と小沢健二さんは言っていました。「racism」を「人種差別」と訳すことは、すでに人種によって差があることを認めているようなのです。こういった感覚は、私だけでなく、多くの日本人に欠如しているように思います。



「social distance」ではなく「physical distance」

コロナですっかり定着した「social distance」という言葉は、和製英語なのかなあと当初疑問に思っていたのですが、US本社のメールやイントラネットの記事でも「social distance」という言葉が使われており、英語のオンラインニュースでも「social distance」が使われていました。

小沢健二さんは『「social distance」は心理的壁を感じるので「physical distance」という言葉を使おう』というようなことをTwitterでツイートされていましたが、「physical distance」のほうが私もしっくりくる気がします。

結局その後も、「social distance」という言葉が大勢を占めている感はありますが、池上彰さんの番組でも『「social distance」ではなく「physical distance」を使うべきだとWHOが言っている』というような話をされていました。

でもいまいち各メディアには浸透していないようです。

少々話がずれてしまいましたが、最近、正しく理解できていないことが増えているなあ…と反省しています。

2020年7月吉日





-ニュース×思うこと×雑記
-

© 2024 雨の朝の庭