こんにちは、にわです。
先日、日商簿記検定2級を受検してきたので、合格の記録を残したいと思います。
目次
受検に至るまで
現在の仕事では、直接、簿記や会計の知識は必要ないものの、必須のビジネス三種の神器と言われるIT・英語・会計のうち、ITと英語はもう20年以上関わっているものの、会計はほとんど縁がなく、気になりつつも放置していました。
年をとって、社歴も長くなり、ヒラ社員でもすこし偉い人たちと話す機会が増えてきて、日々の仕事を数字で会話できるようになる必要性を少々感じ始め、2年前の2021年に『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』を読んでいました。
当時のブログはコチラ
時を経て、ふとしたきっかけで、この本の著者である、大手町のランダムウォーカーさんのFunda簿記を知り、仕事に直結、というわけではない私には少々高額な支出となるので迷いましたが、思い切って受講。
資格が必要なわけではないので、会計の基本を理解できればよかったのですが、せっかく勉強したので、目に見える形に残したいし、合格できれば、勉強したことを概ね理解できていると客観的に判断できるかな、と思って受検してみました。
IT部門で働いて20余年になりますが、テクノロジー好きなわけではなく、当時、私が希望する給料を払ってくれる企業がITしかなかった…というだけのため、技術力を追求するより、平均的な技術力×◯◯で、差別化を図ってプレゼンスを出していきたいという戦略でもあります。会計ソフト担当でもないのに簿記2級受けるIT部員はそれほどいないと思います。少なくとも私の属するインフラ周りでは聞かないです。
Funda簿記を選んだ理由
20余年前、失業期間中に、なにか資格でも取ろうかと、試験日が近かった簿記3級を選択し、本屋で適当な本を1冊買って、1週間ほど読んで試験に臨みました。試験には合格したものの、八百屋が例に出てくる説明は、勉強していて全然おもしろくなく、簿記独特の用語にも馴染めず、その後、仕事で使う機会もなく、縁遠くなっていました。
今回は資格取得が主目的ではなく、ビジネスのリアルな現場で役立てられる知識を身につけたくて、音声プラットフォームVoicy経由で認識していたFunda簿記以外、勉強にあたっての選択肢は自分の中にありませんでした。
ほかの本や教材を全く知らないので、比較はできませんが、Funda簿記を検討中の方に、利用者としてよかった点、気になった点(事前に認識しておきたかった点)を以下に記載したいと思います。
選択したコース
私が選択したコースは『3級・2級コース』です。
20余年前の記憶はうっすらあるものの、9割以上忘れている自覚があったことと、2級の勉強だけで3級の忘れている部分を取り戻せるのか不確かだったため、このコースを選択しました。
Funda簿記は、解説はスライド・ベースなのですが、2級のスライドにも3級の復習のような内容がたくさん登場しており、Funda簿記ブログにもたくさん説明スライドがあるので、2級だけでも大丈夫だったかも…と思わなくもありません。
2級だけのコースと3級&2級合算コースとで、5千円しか金額に差がなかったし(2023年1月申込時点)、教材が1か所に集約していることで時間を無駄にせず学べたので、これはこれでよかったと思うことにします。
別料金のチャットサポートをつけるか否かも迷いましたが、あとからでも追加購入できるようだったので、とりあえず、つけずに始めてみました。
結局、チャットサポートは最後まで使わなかったので、利用者レビューは書けないのですが、これは、X(旧Twitter)コミュニティや、わりと頻繁に開催されている学習相談会で、学習者の質問にFundaの皆さんが無償で(最初に支払ったコース料金のみで)答えてくれるので、チャットサポートをつけようか迷う必要が発生しませんでした…。
こんなに無償で(最初に支払ったコース料金のみで)答えてくれたら、誰もチャットサポート買わないのでは…と心配になります。経済的に余裕がある方はぜひ利用してみてください。私もtotobigで6億円当たったら、簿記を学びたい知り合いに、Funda簿記チャットサポート付きをプレゼントしたいと思います。
よかった点
ネット試験対応
資格取得目的ではなく、Funda簿記で勉強することで実践的な会計の基本知識を身につけたい、ということが目的だったので、簿記検定はネット試験と紙の試験とがあるそうですが、Funda簿記以外検討していなかったので、Funda簿記が対応しているネット試験を受検しました。
本試験とFunda簿記の模擬テストや練習問題のUIはとても似ているので、細かい言葉の言い回しや、計算書の形式が多少違っていても、Funda簿記だけで概ね対応可能なように思います。
私も本試験当日、見たことのない問題や、Funda簿記とはすこし違う形式の問題が出て、やや迷う部分もありましたが、学んだことをベースに考えて解答したところ、概ね正解していたようです。
活字なところ
Funda簿記はスライド・ベースの学習なので、動画より活字が好みの私には勉強が進めやすかったです。
スライドなので、本のように1ページに文字がたくさん詰まっているわけではないため、文字量に圧倒されるようなことはないのでは…とは思います。無料のブログ記事をチラ見すると、スライドがどんな感じか、自分に向いているか否か、わかるかもしれません。
スライドのつくり
スライドは、復習に始まりテストでおわる、というつくりなので、前のスライドを読み直して記憶を取り戻してから今日のスライドに入る、ということを自分でする必要はありません。
一般的な学習者の忘却ぶりをよくわかっています。
そしてわかった気になったところで、最後のテストで間違えて、わかってなかったことに気づかされる、というよくできた構成です。
コンテンツが興味深い
スライドでは、実際に現存する企業の財務資料や例えが出てくるので、読んでいてとてもおもしろいです。学習者代表のようなキャラクターの新卒君も、学習者のわからない気持ちを代弁していて親近感がわいてきます。
シンプルなアプリ
アプリの画面は、ごちゃごちゃしていなくてシンプルなため、開いてすぐ目的の勉強に取りかかれるところが気に入っています。
不明点が質問できる
有償のチャットサポートがあるのに質問してもいいのだろうか?と当初は疑問に思っていましたが、学習者がどこでつまづくのか把握して、よりよいサービスを提供しようとされているので、理解できなくて悩んでいる論点がある場合は、学習相談会を上手に利用するとよいです。
X(旧Twitter)コミュニティで「次の学習相談会で扱ってほしい論点はありませんか?」と聞いてくれるので(自分から申し出てももちろんまったく問題ありません…と思います)自分だけのために…と遠慮せずに声をあげるとよいと思います。
学習相談会は2023年9月現在、ZOOMで行われており、参加者は顔出しする必要もなく、出入りも自由で、後日アーカイブ動画のリンクがアプリ内に掲載されるので、積極的な質問は、同じ論点で悩んでいるほかの学習者のためにもなります。
もうすこし勉強すればわかるかも…と独学をがんばってしまって、なかなか質問できずにいましたが、過去のアーカイブが私もすごく役立ったので、学習者はみんな悩むところは似ているのだろうと思います。
更新が早い
スライドにはちょいちょい誤字がありますが、お伝えするとすぐ確認して修正してくれます。
スライドの内容をよりわかりやすいものにしたり、問題の数・パターンを増やしたり、仕事が早いです。
ほどよい距離間の勉強仲間
勉強を始めた頃は、X(旧Twitter)コミュニティのみなさんが何を言っているのか全然わからず、何をポストしてよのかわからなくて黙々と独学を続けていましたが、簡単にツイート(現ポスト)できる機能が追加されたり、大手町さんが朝活のお誘いをみんなに向けて発信してくれたりで、気軽にぽちっとできるようになりました。
同じようなところを勉強しているのかな…と思われる人をみつけたり、ポストに反応してくれる方がいたり、Fundaの方々にも声をかけていただいたりで、励まされました。
通常のサービスの範囲内なのかわからないのでここでは記載しませんが、ほかにもいろいろとお世話になりました。後述の「気になった点」(事前に認識しておきたかった点)を差し引いても、私にはよかったので、身近に迷っている人がいればFunda簿記をおすすめすると思います。
気になった点
すごく多いわけではないものの、少なくはない、という程度に誤字があるように感じました。
確認依頼をすればすぐ確認して直してくれるのですが、勉強を始めたばかりの頃や、初めての論点を学習している頃は、自分の理解不足なのではと何度も確認してしまい、誤字ではないかもしれないのに指摘する勇気もなかなかなく、もやっとしました。
「完成品に誤字なんてあるわけがない」という経験/先入観がある(Funda簿記ユーザとしてはおそらく高齢な)世代なので…「誤字ではなく自分の理解不足では」と最初の頃は悩みましたが、数百ページの本に誤字が1つも見当たらない、それが当然、というウォーター・フォール的時代や商品ではなく、短い期間で修正/開発とリリースが継続されるアジャイル・アプローチだと利用者側も認識しておく必要があると思いました。
どなたかもVoicyかどこかで、誤字に関する指摘をされていて、「あー、ごめんなさい。でもスピードのほうが大事なんで。」と大手町さんがきっぱり・すっぱり即答されているのを聴いて、そういうことかと思いました。
昨今は、いろいろなことがすぐ陳腐化してしまうので、アジャイルが標準なのだと思います。時間の流れが完全に昭和とは異なります…。
誤字はあり得る、と初めから認識しておけば、悩むことに時間を使わず、すぐ質問するなり、自分の理解が進んでから戻って確認するなりできるだろうと思います。
学習期間
2か月半で2級に合格した人がいると聞いたので、3‐4か月で受かる試験なのかな、と思ったらとんでもなかったです。こうやって勉強すればよかったなーと思う通りにやり直しても、私は2か月半ではとても合格レベルの理解は得られそうもありません。アプリの利用期限を確認すると、2023/10/23なので、2023/01/23からスタートしたのかな。
アプリの学習記録を確認したところ、以下のタイムラインでした。
3級のスライド学習
2023/01/23 - 2023/02/21
1,2日、学習していない日もあるものの、ほぼ毎日学習。時間はそれほど長くはなく、平均すると60分/日前後かと思います。
3級の練習問題
2023/02/25 - 2023/03/01
第1問の練習問題で1週間を費やしてしまい、3級は受検しないし、このままでは2級の勉強時間が足りなくなってしまう…と思い、3級の勉強はここで切り上げました。練習問題の第2問、第3問、模擬テストはまったく手付かず…。
2級商業簿記スライド学習
2023/03/01 - 2023/04/13
2級のスライドは「商業簿記」「工業簿記」「連結会計」「試験対策」でスライドが大分類されている…ということにこのブログを書いている今、気づきました…。
試験対策スライド、あとで見ようと思って、すっかり忘れていました…。まだアプリ利用期限がすこし残っているので、その間に確認したいです。
どれから学習を始めればよいのかというアドバイスがどこかに…あって「まとまった時間が取れない人は商業簿記から」とすすめられていたので、アドバイス通り商業簿記のスライドからスタートしました。
3級はスライドを全部読んでから練習問題に着手したら、忘却が激しかったので、2級ではスライドを読んだ論点ごとに練習問題をやろうと思って始めたものの、スライドで読んだ論点に対応する練習問題がわからなくて諦めました…。
今にして思えば、「商業簿記」という大分類のスライドを学習したら第1問の連結以外の部分が解ける、とか、そういう感じなのだと思うので、スライド全体をできるだけ早く読むしかなさそうです。
2級工業簿記スライド学習
2023/04/13 - 2023/04/27
スライドの量は少ないので、今までになく最短の2週間で読み終わりましたが、1回読み終わった時点の感想は、全然わからない…でした。
工業簿記のスライドは大幅に更新されているそうなので、これもアプリ期限内に読み直したいです。
2級連結会計
2023/05/01 - 2023/05/03
連結はスライドの量も少ないし、考え方は会計が専門ではない私でも一般的な感じで、一番理解はしやすかったです。本試験では一番失点しましたが…。
TOEICでもListeningよりReadingのほうが自信があるのに得点できないので、わかっているつもりでわかっていない、ということが多いのかもしれない…。
2級練習問題
2023/05/05 - 2023/09/08
丸4か月…。長すぎますね…。
5/3に連結会計のスライドを読み終わり、さっそく第1問に取り掛かろうとしたのですが、まったくわからなくて愕然。
そんな時に、学習相談会の過去アーカイブを初めて視聴し、標準原価計算の説明がすごくわかりやすく、これならできそうかも、と相談会でやっていた問題を自分でもトライ。1回目は記憶もおぼろげで、もう一度アーカイブを見て、2-3回やり直してようやく解けるように。
問題を解くことで、スライドでよくわからなかった部分も自然と理解できるようになっている感触がありました。学習相談会でも「学習のインプットとアウトプットの比率は、アウトプット7割」とアドバイスされていたので、練習問題を中心とした学習をしました。
標準原価計算を最初に克服したことで、第5問の残りをつぶして、第4問(2)までは、つまずきながらも、新卒君に助けてもらったりなど、まあまあ順調に進みました。
そろそろ別の問題を…と思って第3問をみたら、全然わからず。
じゃあ第2問、と思ったらこれも全然わからず…。
見た目が工業簿記の問題とまったく異なり、情報量の多さでお腹いっぱいでそっ閉じ状態でした。
こういうときは学習相談会の過去アーカイブだと思い、過去アーカイブを見るも、疑問は解消できず…。自力解答は諦めて、解答解説ページを印刷して、仕事が休みの日に半日かけてじっくり1つずつ眺めていき、ようやく糸口がつかめてきました。
第2問・第3問は、フォーマットに慣れてしまえば、別のところでも登場していたフォーマットなので何ということはないのですが、フォーマットに慣れる前は、何が何だか全然わからない…と絶望しました。
第2問・第3問に慣れてわかったのは、第1問が解けないと、第2問・第3問も解けない、ということ。第1問の基本の仕訳もまた論点が多くて、1つに時間をかけすぎると別の論点の記憶が忘却により曖昧になってしまう、という状態…。第1問は、本試験当日まで、見直していました。
模擬テスト
そろそろ受検申込できるかな…と思い始めた頃、時間配分確認のため、1回だけ実施しました。模擬テストは練習問題の集まりなだけだったので、時間配分が確認できたあとは、不確かな論点の練習問題に時間を使いました。
こうすればよかったと思ったところ
スライド学習全般
時間をかけてスライドを読んでもわからないものはわからないので、理解しようと思わず、とりあえずスピードを上げて読めばよかったです。
読む速度がもともと遅いので、3級のスライドを読みおえるのに1か月、2級のスライドを読みおえるのに2か月もかけてしまいましたが、内容理解は置いておいて、とにかく1周目を早く読みおえて、全体像を把握してから、次の方針を考えればよかったです。
練習問題
2級の練習問題にまるまる4か月費やしてしまいました。
「工業簿記のほうが忘れにくいので工業簿記を先に」というアドバイスをどこかで聞いて、工業簿記から取り掛かりましたが、これは正解だったと思います。確かに一度理解すると忘れにくいです。ただ、あまり放置するとやはり忘れてしまうので、間違えた問題にこだわり過ぎず、最初から短いサイクルで第1問から第5問まで毎日取り組んでいれば、1か月くらいは短縮できたかな…と思います。
私は練習問題のタイミングで、スライドを見直す余裕がなかったので、最初のスライド学習時間を短縮して、練習問題と同じタイミングでスライドを見直すことに時間を使ったほうが、より理解が深まったのでは…と思っています。利用期限の残り時間で、スライドをもう1周見直したいです。
本試験のタイミング
当初は5月中には本試験にいけるのでは、と軽く考えていましたが、まったく無理で、小3息子の夏休みに入ってもまだ学習が佳境で、時間の余裕がまったくありませんでした。いつもは平日仕事が休みの日が、私の一番の学習時間なのですが、息子の夏休み中は、仕事が休みの日は息子をプールに連れて行ったり、あれやこれやで、受検のめども立てられずでした。
そして夏休みがおわって学校が始まった平日がチャンス!と思って本試験の予約をしたら、9月は台風シーズンではないですか…。本試験を何月にもってくるか、どの程度ずれこむ可能性があるか、を最初に考えてから学習を開始すべきだったと後悔。
最後に
本試験の持ち物
電卓と身分証明書だけでよかったです。
試験と言えば、時計が必要かと思い、普段、腕時計をしていないので、夫の時計を借りていきましたが、時計はパソコン上に残り時間が表示されているので不要とのこと。Funda簿記も残り時間が画面に表示されますが、本試験も同様でした。ほかの持ち物は受付エリアに設置されているロッカーに預け入れることになっていました。
普段、電卓も使用しないので、自分が使っている電卓が関数電卓なのか否かがわからず…念のため、型番を書いて、試験で使用可能か事前に問い合わせしましたが大丈夫でした。
20余年前に使用した実家にあった電卓だと思うのすが、C(クリア)以外のアルファベットのボタンの使い方がわからず、使っていないので何ができる電卓なのか不明でした…。
所感
簿記2級はおもっていたよりも大変で、簿記2級の資格を持っている人を見る目が変わりそうです。義務教育で読み書きと四則演算をきちんと勉強した人なのだなあと思います。CVP分析では「売上S-変動費0.nS-固定費=利益」のような計算式を書いて考えていたのですが、義務教育って大事だな…と改めて思いました。
以前よりも財務諸表を見るのが格段にたのしくなったものの、まだわからない言葉も登場するので、そこは1級の範囲なのかな…と思いますが、私には2級が限界だと思うので、時間を確保して簿記を勉強するのは2級までで、あとはゆるりとFunda簿記ブログを読んだり、仕事と直接関係のあることに時間を投下していきたいと思います。
Funda簿記のみなさんには大変お世話になりました。
思い切って勉強を始めてよかったです。
2023年9月吉日